全然(ぜんぜん)
もし、この文章を学校の作文に書いたとしたら、
学校中で評判の担任の美人先生が、
まだ誰も知らない困惑と卑下に崩れた顔を思わず見せてくれそうな、そんな予感がする一文。
過ぎるほど有名なかの「坊っちゃん」の一節。
「全然」の後に、ためらいもなく肯定が。
言葉の歴史も廻るのか。
ところで、
「一体」の意味を自力で説明しようと試みた途端、
「スワヒリ語ってどんなのがあったっけ?」
と、ありもしない記憶を辿ろうとした時さながらに硬直。
一体って一体どういう意味ですか。
すみません! この内容に間違いがあります!≫
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姑息(こそく)
「姑息な手段」だの「姑息な考え」だのと言いたい時、
代わりにどんな言葉でやりくりし始めるのだろうか。
と毎日考えて止まない。
「姑息」は、”みみっちいズルさ”に対して頻繁に使われる人気語であるが、
実は「一時しのぎ」が正しい意味である。
私の場合、あまり効果の期待できないチンケな卑怯ワザを自ら用いる時に、
「姑息」を使用してきた。
しかし、それが誤用だと判明した途端、
それを発する時の自虐的な快感が奪われただけでなく、
代替語の発見までも余儀なくされて、もっぱら困惑中である。
この性格であるだけに、
「姑息」を先の意味で使用したい局面には事欠かない。
その度に代替語検索に全力をそそぐが、
その間に話すタイミングを毎回逸してしまい、
日頃饒舌な私もあえなく陥落の態。
寡黙の病に冒されてしまう。
不本意である。
言葉は、知るほどに世界を広げるというものでもないらしい。
むしろ校正なんて仕事をしていると、
ボキャブラリーが是正される機会に恵まれすぎて、
ますます加速する小姑根性、Bダッシュ。
爆笑(ばくしょう)
言葉の誤用を集めたサイト様には大変お世話になりました。
とても足を向けては眠れません。
そしてまた私の世界は狭くなりました。
そんな不幸を皆さんにもおすそ分けしようかと思うのですが……
いかがなさいますか?
……あら、不幸をお望みですか。
あいにく、こんなちっぽけなものしかなくって、ごめんなさい。
「爆笑」 意味:大勢の人が一度にどっと笑うこと
この先、
「昨日テレビ見て、家族で爆笑した」などとゆめゆめ口走らぬよう肝に銘じられたし。
但し、家族も同然の門弟を1ダース以上抱えている場合などに於いては、その限りに非ず。
以上。
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悪怯(わるび)れる
せっかく特訓したのにマラソン大会が中止になった、みたいな話ですか。
健康とダイエットの願いをかけてフラフープを回していたら腸捻転になった、みたいな話ですか。
治療の為に飲み続けていた薬が実は小麦粉だった、みたいな話ですか。
比喩が的を外している感じがするのは気のせいですか。
「悪びれる」に、
申し訳なく思って反省するという意味は含まれていません。
正しくは、
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仕合(しあ)わせ
元は「仕合せ」と書きまして、
現在の”幸福”という意味ではなく、
”よいめぐり合わせ(つまり、幸運)”で、
「仕合せがよい」とか「仕合せが悪い」なんていう使い方をしていたのだそうですよ(と国語の問題文で読みました)。
古い書物なんか見ますと、
確かに「仕合せ」と書かれたものも結構ありますね。
続・悪怯(わるび)れる
それは本当かっ?!
はいっ、隊長!!
● 「じゃ、なにもそんなふうに、悪びれたりすることはないじゃないか!」
● 女が笑った。ふざけているようでもあり、悪びれているようでもあった。
……それでお終いか?!
いいえっ! もう一文あったと記憶していたのですが、
たった今行方知れずになったことが確認されましたっ!
探し直す気力も見当たりません!!
如何に大声で言い放とうとも、その話に正義はないということに自覚はあるかっ?!
ただでさえかような短文! これでは何も判らぬではないか!
では、僭越ながら補足説明申し上げますっ!
流砂を深く掘り下げ、埋没しながら暮らしている部落がありまして、
そこであたかも隷属されているがごとき生活を強いられているにもかかわらず、逃亡を企てることもなく、
あまつさえ部落からの僅かな配給品に感謝さえしている女の態度が、「悪びれている」と表現されています!
すなわちっ、おどおどしていている態度、
すなわちっ、きわめて本来の辞書的な意味で使用されていると判断されるのでありますっ!!
詳しくは、本編をお読みいただきたくお願い申し上げますっ!!!
……お前は死ぬまで「悪びれる」ことはあるまいな。
隊長! 今度こそ! 非常に有益な例文ですっ⇒
続・悪怯(わるび)れる プラス
資料(教科書)の中に 「悪びれる」 が!
「王様は、人を殺します。」
「なぜ殺すのだ。」
「悪心を抱いている、というのですが、誰もそんな、悪心を持っては居りませぬ。」
「たくさんの人を殺したのか。」
「はい、はじめは王様の妹婿さまを。それから、御自身のお世嗣(よつぎ)を。それから、妹さまを。それから、妹さまの御子さまを。それから、皇后さまを。それから、賢臣のアレキス様を。」
「おどろいた。国王は乱心か。」
「いいえ、乱心ではございませぬ。人を、信ずる事が出来ぬ、というのです。このごろは、臣下の心をも、お疑いになり、少しく派手な暮しをしている者には、人質ひとりずつ差し出すことを命じて居ります。御命令を拒めば十字架にかけられて、殺されます。きょうは、六人殺されました。」
聞いて、メロスは激怒した。「呆(あき)れた王だ。生かして置けぬ。」
メロスは、単純な男であった。買い物を、背負ったままで、のそのそ王城にはいって行った。たちまち彼は、巡邏(じゅんら)の警吏に捕縛された。調べられて、メロスの懐中からは短剣が出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。メロスは、王の前に引き出された。
「この短刀で何をするつもりであったか。言え!」暴君ディオニスは静かに、けれども威厳を以(もっ)て問いつめた。その王の顔は蒼白(そうはく)で、眉間(みけん)の皺(しわ)は、刻み込まれたように深かった。
「市を暴君の手から救うのだ。」とメロスは悪びれずに答えた。
言うまでもありませんが、「走れメロス」(太宰治)の一節です。
うん。ものすごく判りやすい。
(データは青空文庫さんからお借りしました。教科書は、これとは若干表記が違っています。)
悪びれるの意味は≫
悪びれるの別の使用例は≫
そのほか
確か小学校で、
「その外(ほか)」と習ったはずなのに、
中学生以降使用した記憶がありません。
使うのも目にするのも、教科書以外ではもっぱら、
「その他」。
ずっと知らなかったのですが、
「その他」は、
正しくは「そのた」としか読まないそうです。
水天一碧(すいてんいっぺき)
それを気の向くままに読んで行くのも確かに楽しいが、
何かの拍子に偶さか「!」と感じることばに出会う喜びには、到底敵わない。
それは秘密基地を見出した子供ようにワクワクとさせるし、
広い世界への切符を手にしたようにノビノビとさせてもくれる。
本日の出会い―――
「水天一碧」
すいてんいっぺき
晴れ渡った遠い海上などの、水の色と空の色とがひと続きになっているようす。(大辞泉)
水も天も一面の碧(あお)。
字面も音もまさに、そのすがたを有り体に表している、と私は感じる。
水天一碧。
胸のうちでなぞる度、実に胸がすく。
哄笑(こうしょう)
倉庫行きの倒産品「姑息」と肩寄せる日も目前かと危惧されたが、
なんと本日、「一人爆笑」の代替品が見つかった。
もしかすると「哄笑」が「一人爆笑」の近似値かもしれないのですわよ、奥さん。
「哄笑」の辞書的意味は、
「大口をあけて笑うこと。どっと大声で笑うこと。大笑い。」
用例は、
「満場の――を博し」「一同思わず――した」
(意味・用例 by大辞泉と大辞林)
私の認識では、「哄笑」は「ははは!」だったのだが、
「ぐははは!」「どひゃひゃひゃ!」レベルでも可のようではないか。
しかもこれは、大勢の場合でも使える万能文化包丁。
宣誓!
これからは爆笑に代わり高尚さを気取りつつ「哄笑」を使用することを誓います!
ほ、ほんとに合ってるのかな……?
と思わず悪びれる。
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申(もう)し訳(わけ)ない
と以前ためらいもなく書きました。一体生徒が全然悪るいです。(「坊っちゃん」より)
<中略>
「全然」の後に、ためらいもなく肯定が。
確かに「〜ではない」という形態の否定ではありませんが、
内容は否定的です。
ということに今日初めて気付いたのでございます。
みなさま申し訳ありません……!
まことに申し訳ございません……!
申し訳ないことでございます……!
などと言ってみる。
……いや、反省してます。本当に。
ちなみに答え: 一番下
「申し訳ない」でワンセット。
〔関連記事〕
「申し訳ない」のその後
しつこくて申し訳ないですが、「申し訳ありません」の話
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あかよろし
毎年、一年先どりして年賀状のイラストを書いているわたくしは、
すでに「亥」年に突入しております。
亥年といえば、いのしし。
いのししといえば、猪・鹿・蝶。
猪・鹿・蝶といえば、花札。
花札といえば、「あのよろし」。

← クリックでうんちくが読めます。
「あのよろし」といえば
なにっ?!
「あかよろし」??!!
この「、」はなんぞやと前から疑問に思っていたら、
「可」の草書体なんですな。
意味は「あきらかによろしい」だそうですが、
こういう説もあり。
どちらにせよ、
「あのよろし」はどう転んでも間違い。
自己訂正でもう日暮れ。
人生浪費術を積極的に実践中。
かみさまごめんなさい。
ところで、
瓜坊は、猫様に足を折り曲げて寝ることも可。
のようです。
「花札 あかよろし」でググったら、かなり面白い対談と遭遇。
バックしていったら、なんとあの「ほぼ日」の記事でございました。さすが!
リンク報告が面倒なので、興味のある方はこちらの「博物館―花札―」をクリックしてお読みください。
え〜、花札と一口に申しましてもこのように様々ありまして≫
賀詞のクイズはコチラ≫
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独壇場(どくだんじょう)
「擅」を「壇」と誤ったことに端を発し、
すっかり市民権を得て、辞書にも登録されている。
しかし、本家本元でありながら「独擅場」はもはや風前の灯火の感。
完全鎮火も時間の問題か。
「申し訳ない」のその後
ということを以前に知った。
そして困っている。困り続けている。
私も大人ですから。
失敗を日々産出し続けるスカタンですから。
「申し訳ありません」「申し訳ございません」を使うなと言われても。
「すみません」じゃ軽すぎて、
「申し訳ないことでございます」じゃかえって慇懃無礼って状況は五万とある。
そんなときはどっちを使ったって、
社会常識からちっと外れたマイウェイなヤツだと思われかねない。
昨日今日、仕事を始めた若人ならまだしも、
あれこれ見聞きしてきたはずの結構な年齢の大人がそれじゃ、
脳回路の不具合を邪推されそうじゃないの。
言葉は共通認識があるところで使用して初めて、その任をまっとうに果たせるんであって、
そこに齟齬があるまま正しさをごり押ししても通らない。
ってことは、重々承知してはいるものの、
「正しい日本語」を使わねばならん職種と教科に関わっている身でありながら、
やすやすと誤用に出戻ってしまうことには、かなりの抵抗がある。
「姑息」の使用は、あれ以来完全に諦めてしまったが、
「申し訳ありません&ございません」に関してはさすがに使わずには済まされない。
済まされるほどに、責任を持たない有能な人物になれないってんなら、
「申し訳ありません&ございません」に替わる違和感のない実用的な言葉に出会いたいものだ、と思う。
とりあえず。
それが見つかるか転職するまでは、「申し訳ないです」「申し訳ないと思っております」ほかバリエーションを駆使し、だましだまし社会の荒波をビート板で泳ぐ所存である。
● おまけ
何と今日、高校受験の過去問(敬語)の中で「申し訳ございません」を発見。
次の文章から敬語の誤りを指摘しろという設問で、その文章中にあったんです。
でも、誤りはそこじゃないんだってさ!
謙譲語を使うべきところを尊敬語にしている箇所が間違いなんだってさ!
「"ございます"じゃないでしょ?」と思わず赤入れしそうになったけれども、過去の是正は出来ずギャフン。
〔 関連記事 〕
申(もう)し訳(わけ)ない
しつこくて申し訳ないですが、「申し訳ありません」の話
しつこくて申し訳ないですが、「申し訳ありません」の話
「申し訳ありません」&「申し訳ございません」ブラザーズ。
以前の記事にも書きましたが、
「申し訳ない」でワンセットなので、
「ありません」「ございません」は、本当のところは間違いらしいのです。
が。
学校の問題の場合には、
まず間違いなく正しいものとみなされるようです。
ということが、ようやくわかってきた昨日今日です。
もし、以前のうちの記事を読んで、「申し訳」兄弟を却下したがために、失点してしまった方がいらっしゃたら、
それは本当に申し訳ないことでございます。
ごめんなさい・・・。
余談--------
どういうわけだか知らないけれど、
選択肢の中では「申し訳」をふくむものが、いつも正答。
使い方の「誤っているものを選べ」だろうが、「正しいものを選べ」だろうが、
私が今まで出会ったものはパーフェクト(といっても、数は知れてるが)に正解。
尊敬語だか謙譲語だか丁寧語だか判然としない魅力が、
選ばれし理由か?
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申(もう)し訳(わけ)ない
「申し訳ない」のその後
「年中無休」と「年内無休」
時折、「年中無休」と「年内無休」の違いを調べにいらっしゃる方があるので、書いておきます。
「年中無休」とは、
「一年中休みませんよ」という意味。
つまり、この文言を掲げている店の場合は、
年がら年中365日、うるう年なら366日、一日も休まず営業しているということ。
一方、
「年内無休」とは、
「この一年は休みませんよ」という意味。
一般的には、年の瀬に使われることがほとんどでしょう。
年末には休業する店も多いので、告知しておくわけですね。
とにもかくにも、今年の12月31日までは休まないということですが、
来年はどこかで休むよという含意があります。
・・・でも、たまに「年内」とすべきところを「年中」と誤って使っている店も。
